不正注文を疑ったときの発送保留・確認とチャージバック対応

カードの承認が通っても、不正注文の可能性は残ります。疑わしい注文は倉庫の出荷まで保留し、決済と配送の記録を確認してから発送・取消を判断します。

出荷前に注文の記録を確認し、梱包済みの商品を保留するネットショップ担当者のイラスト

カード承認だけで発送を決めない

オーソリ(与信・承認照会)が成功しても、注文した人がカードの正当な利用者とは限りません。第三者が盗まれたカード情報で購入し、商品を受け取った後にカード会員が支払いを否認すると、チャージバックで売上が取り消されることがあります。商品代の回収だけでなく、商品の原価、送料、決済・異議申立ての手数料も確認が必要です。

一方で、注文者と受取人が違うギフトや、初めての高額購入は正常な注文でも起こります。一つの特徴で不正と断定せず、決済事業者の判定、購入履歴、配送変更の経緯を組み合わせて判断します。

気づいたこと先に確認すること発送の扱い
通常より高額・大量の初回注文不正検知の判定、認証結果、重複注文、連絡先の整合性自店の確認基準に該当したら、判断が終わるまで保留
決済後に配送先を変更したい変更依頼の経路、元の注文との対応、決済事業者が求める配送条件倉庫へ変更と出荷を止める連絡を先に行う
同じ商品や連絡先で短時間に注文が続く重複操作、複数の取引ID、決済失敗の増加、注文数と試行数の差重複発送を避け、決済画面への攻撃も調べる
注文者と受取人の名前が異なるギフト指定や購入履歴、他の不審な兆候の有無名前の違いだけを理由に取り消さない
購入者と連絡が取れない入力間違い、メール不達、あらかじめ定めた返信期限保留期限と再連絡・取消の基準に沿って扱う

疑わしい注文を見つけたら、倉庫の出荷も止める

  1. 注文を保留し、倉庫・発送代行へ伝える。カート上のメモだけで出荷が止まるとは限りません。自動出荷、送り状発行、倉庫への指示のどこまで進んだかを確認します。
  2. 注文IDと決済の取引IDを照合する。承認・売上確定・取消・返金の状態、本人認証の結果、不正検知の判定、配送先の変更履歴を確認します。判断者と確認時刻も残します。
  3. 決済事業者へ対応を相談する。不正の疑い、取引ID、認証結果、出荷状況を伝え、発送可否、取消・返金の手順、補償や責任移転の対象条件を確認します。カード会社から照会が来ている場合は回答期限を優先します。
  4. 必要な範囲で購入者に確認する。注文内容や届け先など確認したい点を具体的に伝えます。カード番号全桁、セキュリティコード、認証用のワンタイムパスワード、カード画像をメールやチャットで求めません。
  5. 発送・保留継続・取消を決め、各システムをそろえる。決済、カート、倉庫、在庫の状態を照合し、取消した注文が発送されないことや、返金が重複しないことを確認します。

購入者への連絡は、たとえば「ご注文の届け先の確認が必要なため、発送を保留しています。○月○日までに注文番号と確認事項をご返信ください」のように、確認点・期限・発送の状態を伝えます。確認前に「不正利用です」と断定しません。

カードを一時的に利用できないだけの正常な購入者に、原因が分からないまま何度も決済を試すよう勧めるのも避けます。決済事業者が案内するエラーの対応と、別の支払い方法の利用可否を確認します。

3Dセキュアの認証成功と、全ての補償は別

EMV 3-Dセキュアはカード決済時の本人認証の仕組みです。画面に追加のパスワード入力が出なかった場合でも、認証処理が行われることがあります。購入者の画面だけで判断せず、決済事業者が記録する認証結果を確認します。

認証による不正利用の責任移転は、カードブランド、取引・認証の状態、適用される例外、加盟店契約などの条件に左右されます。「認証成功なら必ず売上を守れる」とは限りません。また、商品未着や説明相違など、不正利用以外を理由とする支払いの異議は別に対応が必要です。Stripeの本人認証・責任移転の説明でも、対象となる争いと適用条件を確認できます。

決済後に届け先を変える場合や、本人認証を適用しない取引がある場合は、その取引を対象に補償条件を確認します。与信処理料や返金手数料が免除されるかは、本人認証の成否とは分けて契約で確かめます。

チャージバックの連絡が来たときに残すもの

チャージバックは、カード会員の異議申立てなどを受け、カード取引の売上が取り消される仕組みです。加盟店から行う通常の返金と同じ処理ではありません。通知の理由と期限、すでに返金済みかを確認してから、決済事業者の手順に沿って対応します。

  • 注文・決済の取引ID、注文日時、商品の内容、金額
  • 本人認証と不正検知の結果、決済・返金・取消の履歴
  • 届け先の変更履歴、配送会社と追跡番号、配達や受領を確認できる記録
  • 購入者との連絡、注文時に表示した配送・返品条件
  • 決済事業者からの通知、提出期限、提出した資料と回答

異議申立ての進行中に独自に返金すると、売上の取消と返金が重なるおそれがあります。重複の防ぎ方を事業者へ確認してください。資料を提出すれば必ず売上が戻るわけではなく、提出すべき証拠や手続費用は理由・契約で異なります。

記録は閲覧者を限定し、必要な期間だけ保管します。カード番号やセキュリティコードを調査用の表に転記するのではなく、事業者の取引IDやマスク済みの情報を使います。

日々の注文確認で決めておく5項目

  • 保留の条件と解除できる担当者:商品単価、換金性、注文履歴などに合わせる。全注文を一律に保留しない。
  • 配送先変更の手順:変更依頼の受付経路、決済側の条件、倉庫への連絡方法をそろえる。
  • 確認の期限と連絡文:購入者が返答できる方法と、期限を過ぎた後の処理を決める。
  • 決済事業者への連絡先:通常窓口に加え、攻撃・大量試行時の緊急窓口を確認する。
  • 見直しに使う記録:確認した注文と正常注文、保留の結果、決済試行数・失敗率を比較する。

承認された注文だけを見ていると、注文成立前のカード試行を見逃します。少額決済やカード登録の失敗が急増しているときは、クレジットマスター攻撃の兆候と処理費用も確認してください。